「toC PMフィッシュボウル 〜成功も失敗もディスカバリーも組織も「全部のせ」編〜」というイベントに参加しました。
今回はゲストスピーカーとしてインナーサークルに座らせていただきました🙌
昨日は #toC_PMフィッシュボウル へのご参加ありがとうございました!
— 横道稔 | Product People Inc. プロダクトコーチ (@ykmc09) 2025年10月7日
「toC PMが最近盛り上がってない?」「話し足りない!」「さらに生々しい話を」という声もあがってたので、(小さくても大きくても)色々な集まりが増えるといいなと思ってます
弊社が主催した時にもまたご参加ください! pic.twitter.com/pSNF8qp12A
「フィッシュボウル」とは?
「フィッシュボウル」は、観客を含む参加者の前でごく少人数が円になって議論するスタイルの大規模対話手法です。
円の中に空席を作り、聞いていた人が「話したい!」と思ったらその空席に座って参加できる形式です。今回は、この形式をアレンジして、声をかけられて招かれたらインナーサークルに入るかたちで進行されました。

以下、イベントで話題になったテーマをトピックごとに可能な範囲でレポートまとめました。
1. toCプロダクト特有の課題と難しさ:「むずくない?」議論の応酬
ユーザー価値 vs. 事業(業績)の両立
「ユーザー価値と業績の両立むずくない?」という問いかけが、議論の火付け役に。本当にそうだよね😭
毎朝仕事始まるたびにうんうん唸ってるよ・・・・・
「ユーザー価値追っかけてたら事業もついてくる派」がいる一方、「toCこそ事業構造を捉えるのが大事」という意見もあり、これクローズドなSlack実況がなかったらサークルに人だかりできてたなって風速でした。
通信速度追いついてなくてSlackのタイムライン読み込めてなかったw
初期フェーズではユーザー価値より初期は売上でしょう、の現実的な声もあがりました。
BtoBtoC・2-Sideマーケットの複雑な力学
参加者の多くが「BtoBtoC」や「2-Sideマーケット」のプロダクトに携わっていることが判明し、「ねじれるっすね」「力学がtoB側に傾きがち」といった特有の苦労が共有されました。
2-Sideマーケットでは、片方のユーザー層(toB/toC)が取れればもう片方の説得力につながるという成功の循環構造についても言及されて、この点には深く共感。
しかし、利益を生まなければ事業は継続できぬわけで、どうしても力学がtoB側に傾きがちであることの社内の軋轢についても議論が盛り上がりました。
プロダクトの成長と収益モデルの課題
グロースの構造を把握しないと始まらないという指摘。特に規模を追うtoCにおいては、事業モデルによって売上と利益の作り方が異なることが確認されました。
売上を追うあまり、メルマガやプッシュ通知の多発で「体験落ちる」ことや、「便利な画面のなかに商品のエリアがどんどん増える力学あるよね〜」といった、短期的な収益と長期的なUXのトレードオフの悩みが共有されました。
「ユーザーに金を落とさせたい💸toCプロダクトの話」だったらお前はスピーカーの誘いを受けたか?と言われたら絶対にNoだったな
— てぃば┃CHIBA Reimi (@rechiba3) 2025年10月7日
私は私が信じてるビジョンに向かってプロダクトの品質を上げるだけ
問合せ画面で配信サービスのサブスククーポン出すアドネットワーク導入したらビンタしてください https://t.co/OX18vCngcd
2. toCにおけるディスカバリーと意思決定:定性・定量のバランス
ディスカバリーの難しさ
「toCはディスカバリーがむずすぎるんよ」という声がある一方で「ディスカバリーこそtoCの面白み」と様々な意見が生まれました。
ディスカバリーの過程で「都合よくユーザーの課題を作り出したり、factベースから妄想に引っ張られてしまっている」という、陥りがちな罠が語られました。
個人的には、それはユーザーを単体で見てる場合に起こる視点だと感じていまして。
ユーザーを取り巻く環境、社会、状況に目を向ける多角的な視点を身につけたら罠を脱却できる。
そして、これは、個人の能力不足や経験不足で片付けてしまうのはあまりに惜しいので、なるべくたくさんの人間と対話することで解決できると信じてます。
行動観察とファクト重視の姿勢
ユーザーインタビューは「話半分」「定性も定量の一部として見るのが大事」という厳しい意見が出ました。
それに代わって重視されたのが「インタビューより行動観察の示唆がでかい」という点。
実際の利用シーンを見る、家に行ったり、操作画面を録画してもらうといった具体的な観察の場を持つ大切さについても話題に上がりました。
「行動と感情それぞれのファクトを揃えるのはtoCもtoBも変わらんが、toCの方が感情ファクトからのインサイトを意思決定に強めに使ってた記憶がある」という整理もされました。
意思決定のスピードと不確実性
「toCはリサーチなしに権力者の独断で意思決定されがちな印象」という問題提起に対し、「作ってA/Bで判断する方が早いみたいな価値観」は実際にもやっているという実態が語られました。
不確実性の高いtoCでは、「1番楽なのは人の信用で進むこと」になりがちだが、PMは「決めた後に結果まで追ってその結果を施策に反映するをやり続ける」ことが責務だと定義されました。
3. toCのファンづくりとユーザーとの関係性:「朝まで飲む」はトレンド?
ユーザーとの距離の近さや、ロイヤルユーザーをいかに育成・維持するかという、toCならではの話題が盛り上がったのが印象的でした。
ファンとロイヤルティ
「最終、可処分時間の奪い合いになる」「toCはスイッチングコストが低いから大変」という前提のもと、ファンづくりとロイヤルユーザーの重要性が議論されました。
「行動ロイヤル層(勝手に投稿・シェアしてくれるファン)」と「経済ロイヤル層」の重要性が語られ、「2:8の法則」における上位2割のロイヤルユーザーをどうキープするかが共通の命題であると認識されました。
富裕層向けサービスでは、「安く感じられると廃れる」ため、「ブランド作り」が鍵になるといった、ニッチな事例も共有されました。
1次情報の獲得と「仲良くなる」戦略
「シンプルに仲良くなろう!!」「仲いいから続けてもらうめっちゃある」といった、人間関係によるエンゲージメントの重要性が強調されました。
「毎月ユーザーとパーティーやって飲み会してる」という事例や、「特定のユーザーと仲良くなる」「インフルエンサーと仲良くなる」といったアプローチも紹介され、会場の雰囲気を盛り上げました。
4. PM組織とキャリア:人数・分担・育成のリアル
PMの役割とキャリア
「PMMを無くした」事例から、PMが担うべき守備範囲について議論されました。
「toCのプロダクトやってる人でPMと名乗ってないケースは多そう」という指摘から、PMという職種が定着する以前のtoC開発文化の歴史が垣間見えました。
PMは何人在籍しているか、それらはすべてどのような役割を担っているか、意思決定者は誰か・・・、組織は戦略に基づいて出来上がるから今の構成になっている、といった意見もありました。
そんな中で、PMキャリアとしてtoBもtoCも両方経験した人は最強説も盛り上がりました。
🍻 イベントを終えて
今回のフィッシュボウルはtoCのいいところを確かめ合うきっかけになったので「やっぱ人の不便を便利に変えられるサービスって最高に楽しいよな〜やめらんね〜」って実感しながら高輪ゲートウェイの風を浴びていました。
たぶんLTVが指標になる仕事が向いてない。(エンタメ好きなんだけどね、なんでだろうね)
この記事の内容、誰が発言したか、どの組織のことを言ってるのか特定できないように書きましたが、もし不都合ありましたらお申し付けください、速やかに削除します🙏(連絡先: X@rechiba3)