てぃばのBlog|CHIBA Reimi(rechiba3)

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PMの武器は「専門性」じゃなかった。異なる糸を織る人たちの祭典で、自分の役割が見えた話 #ResearchConf

てぃば@rechiba3です✌

2026年6月28日、RESEARCH Conference 2026に参加してきました。

リサーチカンファレンス2026年では、異なる糸を織り合わせてテキスタイルを作り上げるモチーフのポスターが貼りつけらていました

今回はポスターセッションに採択いただき、登壇もできました!2024年から参加している憧れのリサーチカンファレンスに登壇できて大感謝です。

 

登壇レポートはnoteの方に記載しています💁‍♀️

note.com

 

この記事では、ポスターセッションのコアタイムまで聴講できたスピーカーセッションをレポートします✍

 

「リサーチカンファレンス」なのにPMが行く意味

今年のテーマは 「WEAVING(織る)」。

“年々リサーチに求められることは多様で高度になり、一つの専門性や視点だけでは抱えきれなくなっている。異なる特徴をもつ人や役割を「織る」ことに可能性を見出す”

それ、PMの仕事そのものじゃん!

 

このカンファレンスは、いわゆる「調査手法の勉強会」ではありません。

  • スピーカーセッションでは広義のリサーチ(文化人類学から組織論、AIまで)の発表
  • ポスターセッションではぐっと現場に近づいた実践知、リサーチ事例の共有
  • ワークショップではプロセスを通した探求と新しい価値の体験
  • OSTではテーマを持ち寄って議論が白熱する場

そして毎年恒例のおすすめ書籍コーナーは個人的に毎年楽しみにしていまして、今年も1冊衝動買いしました📖

リサーチカンファレンスのオススメ書籍コーナーには、登壇者やスタッフのおすすめする書籍が置いてあり、手書きのPOPでPRが記載されており、購買意欲を煽る設計がされています。

今回のテーマの通り、すべてのセッションを聴講して強く感じたのは、「専門性を深めろ」ではなく「異なる専門性をどう織るか」が2026年の問いだということ。

まさに私たちPMが毎日向き合っている課題です。

 

「織る」を実践した7つのセッションから見えたこと

🧵 身体感覚は翻訳できない──モンスト海外展開のリサーチ

島崎 顕北 株式会社MIXI/マーケティングリサーチャー

古藤 拓実 株式会社MIXI/マーケティングリサーチャー

MIXI社のモンスト海外展開チームの話。インド市場に出す際、「ローカライズ」ではなく「グローバライゼーション=再構築」を選んだ判断が印象的でした。

面白かったのが、日本で「引っ張る」操作がインドでは「押し出す」と解釈される、という発見。

身体感覚レベルの文化差は、デスクリサーチでは絶対に捉えられないんですよね。

私も前職でベトナムオフショア会社にいて感じましたが、「ガラケー」UIでのウェブブラウジングを経験した日本人と、ブラウジングの初めがスマートフォンのベトナム人では、UIの根本的な設計感覚が違かったことを思い出しました。

 

MIXI社では、リサーチャー・エンジニア・デザイナーの14名が現地でプレイテストを繰り返し、「共体験」を通じて組織の認識を揃えたとのことです。

PMとして刺さったのは、リサーチが「調べて報告する」だけでなく、チームの目線を合わせる装置として機能していたこと。私たちが普段やっている「ステークホルダーとの合意形成」って、その延長線上にあるんですよね。

🧵 「風の人」と「土の人」──組織にリサーチを根付かせる土着の視点

福島 麻衣 株式会社Muture/戦略デザイナー

地方創生界隈でよく言われる、外部から理想を持ち込む「風の人」と、組織の文脈を理解する「土の人」というメタファーが秀逸でした。

リサーチのテクニカルスキルだけでは組織に価値が届かない。

IR資料を読み込んだり、社員のキャリアの物語を聞いたり、非公式な権力構造を把握したり。

組織の「地層」という考え

特に共感したのは、

その組織のビジョン、大切にしている価値観を掘り起こすことが、リサーチを意思決定に接続する前提条件という話。

これ、PMが日々やっていること(のはず)なんですよね。

事業の文脈を理解し、過去の経緯を踏まえ、適切なタイミングで提案する。

また、プライベートでは、保育園の保護者会でもこの振舞いの結果、園長先生の信頼を得た経験があります。

www.rechiba3.net

 

自分の仕事を「土着化」と呼んでいいんだ、と思えたことが大きな収穫でした。

 

🧵 「100%正しく話さないと発言じゃない」──よそ者の役得

川口 いりえ/デザインリサーチャー

ドイツでは「仮説ベースのふわっとした提案」が通用しない。100%正しいという話し方でないと発言とみなされない文化。

じゃあその仮説からFACTを得るために検証するときはどう進めるの!?

「仮説です」「たたきです」と前置きして議論を始めて、「じゃあそれを検証する打ち手は?」って進めるじゃん?・・・・・・・・どうしてんの?こわい!ww

一方で、多様な正しさを認めすぎると自分の判断基準を見失う「文化相対主義の罠」にも言及されていて、相対化しつつ自分の判断の有効範囲を決めることの重要性が語られました。

 

「色んな意見を聞きます」は組織として進めるにあたっての美徳だけど、最後は自分の基準で判断を下す覚悟が必要ですよね。それがPMの難しさであり、楽しさだと私は思っています。

その責任が追えない人はただの調整役で終わるんでしょうね、と厳しい所感も得ました。

 

🧵 速さと深さの縦糸×横糸──組織リサーチのデザイン×人類学

出井 康裕 GMOメディア株式会社/サービスデザイン部 部長

室越 龍之介 株式会社Anthronomos/代表、人文学ゼミle Tonneau主宰

GMOメディアの出井さん(デザイン的アプローチ:小さく早く仮説検証)と、人類学者の室越さん(2年半の参与観察で構造を記述)の対話。

この二人の組み合わせが象徴的でした。「速く小さく回す」と「じっくり観て構造を記述する」は対極。でも交差させることで、片方だけでは見えない全体像が浮かび上がります。

PMの日常に置き換えると、スプリントで検証を回している過程に現れる阻害要因、それが同時に組織の困りごとを可視化するものでもあります。

これって、長い目で観察し続けないと見つからないんですよね。

両方やっていいんだし、両方やらないと見えないものがあるっていい気づきを得ました。

 

🧵 調査が街を動かす──LOCAL RESEARCH LAB中津川

牛丸 維人 株式会社KESIKI/ディレクター

吉澤 克哉 東海旅客鉄道株式会社/事業推進本部 係長 conomichiプロデューサー

JR東海グループ×KESIKI×岐阜県中津川市の実践。

リサーチ結果を地域で展示・配布し「還元」する設計がすごかった。参加者の街への関心度が参加前5点→参加後9点に跳ね上がっている。

リサーチを「専門家が対象を調べる行為」から「多様な人が共に体験し語る行為」へ転換させたのが印象的で、やはりデザインこそ地方に散らばせないといけないんだわって気づきを得ました。

プロダクト開発でも「ユーザーインタビューの結果を社内に還元する」設計ひとつで、チームの当事者意識が変わりますよね。

調べて終わりにしないことが本当に大切。

 

🧵 AIの出力は「プロダクション品質」じゃない──State of Research meets AI 2026

米山 弘恭 toitta/コンテンツ本部 副本部長

2026年現在、AIインタビューや大規模定性調査(159カ国8万人!)が実用段階にある一方で、「AI Slop問題」──それっぽい回答を即座に出すことの毒性が指摘されている切り口から始まりました。

 

AIペルソナは意味不明、AIカスタマージャーニーは実用に耐えない。つまりAIの出力と実際の顧客理解の間には、コードの品質と本番品質の差と同じギャップがある、と。

AIが全プレイヤーに行き渡る武器になった今、競争優位のラストワンマイルは「自社固有の文脈におけるN1のナラティブ」。

AIの出力を鵜呑みにせず、顧客文脈で検証してプロダクション品質まで引き上げる翻訳者であることも、PMの役割の新定義だと感じました。

 

🧵 評価すること自体が変革になる──パラ・エスノグラフィ

田立 紀子 公益財団法人社会変革推進財団/インパクト・オフィサー

小島 弘光 株式会社エクスライト/代表取締役 編集者

早川 公 アトリエ・アンソロポロジー合同会社/文化人類学者

 

インパクト投資の成果を「パラ・エスノグラフィ」で測る実践。投資先企業の社員を「パラ・エスノグラファー」として育成し、調査行為そのものがシステムチェンジの触媒として機能する設計。

投資評価×人類学×編集×現場知。4つの異なる専門性を織ることで、数値化できない変化を捉える回路が生まれる。

「KPIで測れないけど大事」、「数値化できない変化をどう捉えればいいの?」に悩むPMにとって、評価のフレーム自体を拡張するヒントがここにありました。

 

PMが持つ「見えない専門性」の正体

7つのセッションを聴講して、PMの専門性は、「異なる糸を織る力」そのものだということに気付かされました。

エンジニアリングもデザインもリサーチも、単独では組織の壁を越えられない。でも、それぞれの言語を理解し、翻訳し、適切なタイミングで交差させる人がいることで、初めて「布」になる。

 

「専門性がない」のではなく、「複数の専門性を接続する」こと自体が専門性だった。

今年のリサーチカンファレンスは、5年間の歩みを振り返るセッション(5周年!)もあって、「リサーチ」の定義を意図的に曖昧にし続けることで異分野の人が集まる場が成立している、という話が印象的でした。

これはPMコミュニティにも通じる真理で、境界が曖昧だからこそ、自分の居場所を自分で決められるということなんです。

今日からできる3つのこと

「自分は何と何を織っているか」を言語化する

日報でも振り返りでもいい。「今日はエンジニアのAという懸念とビジネスのBという目標を接続した」と書く。それが専門性の証拠になります。

また、データとして記録すると後々LLMに学習させて仕組み化できたり、システムに再現性も作れます。ジャーナリングをしよう。

他領域のカンファレンスに1つ参加してみる

私はpmconfの運営もしていますが、それだけがPMの学びの場じゃありません。

リサーチ、デザイン、人類学、プログラミング言語系、テスト等など…

「よそ者」として参加することで、自分の仕事の輪郭が見えてきます。

 

チームで「共体験」を設計する

ユーザーインタビューに職能縛りなくチームメンバーで参加する、リサーチ結果をSlackに流すだけでなく、15分の共有会を開く、同じ現場で同じ体験をすることが、組織の認識を揃える最速の方法です。

それも過去にnoteに掲載してるのでよかったらご覧ください💁‍♀️

note.com

 

おわりに

自分たちの織り方を見つけて、外部に発信するという行為は腕試しにもなり、自分たちのチームの現在地を測るにもとても良い指標になります。

 

もし今、「自分には専門性がない」「技術の話についていけない」と感じている人がいるならば、「異なる人と人を繋ぐ力」「文脈を翻訳する力」「共体験を設計する力」は、とても強いスキルになるのでぜひ磨いて欲しいと思えました。

自分たちの織り方を見つけて、外に出してみませんか。きっとそこには、同じように悩み、同じように手を動かしている仲間が待っています。

 

これからも変化を恐れず、楽しく波に乗り続けたいものですね。

このような機会をくださったRESEARCH Conference運営に関わる皆さま、開催にご支援されたスポンサーの皆さま、当日を彩った登壇者の皆さま、盛り上げてくれた参加者の皆さま、本当にありがとうございました🙌

また来年、楽しみにしています〜!